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2014

大林組のスペースコロニー「スペース・ナッツII」

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宇宙空間の恒久的居住施設スペースコロニー。世間一般ではシリンダー型やトーラス型が有名ですが、宇宙エレベータ構想などでも知られる日本の建設会社大林組も、かつてその広報誌『季刊大林』の中で、非常に独創的なスペースコロニー案「スペース・ナッツII」を公開していたりします。

が、このスペース・ナッツII。ネット上にはほとんど情報がなく、円錐形という情報から一部ではガンダムSEEDに出てきたような砂時計状のダンベル型コロニーの一種として間違って紹介されていたりもします。唯一、2ch未来技術板のスペースコロニースレで詳しい話を目撃したことがありますが、現在では画像も消えており、ニュアンスを掴むことは困難になっています。
そこで、参考までに当時拾った画像と情報をここにまとめておこうかと思います。
(と偉そうに言いつつも、自分もそのスレで聞いた話しか知らないのですが・・・。)

なお、以下の記述は全て上記スレの二次情報に基づくものです。正確な情報をお求めの方は、一次情報とされている『季刊大林 No.41 「ラグランジュ・ポイント」 1996年』をご参照ください。


では、まずは形状から。これがスペース・ナッツIIです。非常に独創的な形状のため、まずは実際に画像を見てもらうのが手っ取り早いです。

アポロチョコ2つを底面で接続したような形をしたスペース・ナッツII。表面は太陽電池に覆われており、後方には姿勢制御用のソーラーセイルが展開されている。
スペース・ナッツII外観(『季刊大林 No.41 「ラグランジュ・ポイント」 1996年』より)

・・・どうでしょうか?他のコロニーのイメージからは想像しがたい、何とも独特の形状ではないでしょうか?円錐といえば円錐ですが、「アポロチョコの底面同士を合わせた感じ」という表現がまさに適切な気がします。手前側のアポロチョコが太陽に向いた「サンサイド」、反対側のアポロチョコが「スターサイド」と呼ばれており、「サンサイド」の表面は太陽電池や太陽光集積システムに覆われています。「スターサイド」の後方にはソーラーセイルが展開されており、これで軌道(月と地球のL1)を維持します。

後でまた解説しますが、コロニーは外殻と内殻の2層から構成されており、宇宙船が入港する際は上の図のようにアポロチョコの出っ張り部分をずらして、そこから外殻にある宇宙船格納庫に入港します。長軸1.9km、短軸1.8kmのサイズがありますが、総人口は2000人ほどと少なめです。

スペース・ナッツIIの構造断面図。内部は外殻と内殻の2層からなり、中心部には人口太陽が設置されている。
スペース・ナッツII構造(『季刊大林 No.41 「ラグランジュ・ポイント」 1996年』より)

そして、こちらがスペース・ナッツIIの構造断面図になります。宇宙船格納庫、観測施設、貯蔵空間を兼ねる外殻と、居住空間、工場等生産施設のある内殻から構成されています。中央に円盤状の「自由回転コア」があり、その中心には人工太陽が位置しています。上の図だと一瞬勘違いしそうになりますが、自由回転コアは「円柱」ではなく「円盤」です。スペース・ナッツIIは外殻とコアが固定で、中身の内殻だけが(上の構造図だと上下方向に)自転します。「サンサイド」と「スターサイド」の内殻がそれぞれ逆向きに自転することで、コロニー全体の角運動量が0に調節されます。

人口太陽は太陽光集積システムから導かれた太陽光を発するつくりで、中央に光源があるため内殻の内側全ての土地が利用可能となります。ただし、円錐という形状の関係で、位置によって重力(遠心力)が異なるため、居住空間として用いるのは外側の1Gに近いエリアのみのようです。また、中央に壁(コア)がありかつそれぞれのサイドは逆回転しているため、反対側に移動するには手間がかかるようです。


以上、スペース・ナッツIIのニュアンスは掴めたでしょうか?トーラス型などと比べて頑丈そうではあるものの、移動の手間など効率については気になる部分もあります。しかし、既存の設計に囚われずに一から考えてみました!という雰囲気には非常に好感が持てます。

大林組の宇宙関係では、他にも(1987年とさらに古いものですが)月面都市に関する話が公開されているので、興味のある方はそちらも見てみるといいかもしれません。ではでは…。
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Tag: 宇宙

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